2010年7月21日水曜日

2時間の旅路 一人旅の新たな一歩②

日が昇り、日差しが激しさを増す中で、一歩一歩刻んで走った。10時過ぎにはこのまま炎天下の中を走り続けるには体力を消耗しすぎているということに気づき、日が陰るまでどこかで横になって過ごし、暗くなってから一気に距離をつめるほうがいいのではないかと思い始めた。ちょうどバッティングセンターの前を通りかかったので、久しぶりにバッティングしてみようと思い、立ち寄った。バッティングセンターの前のテニスコートの横の日陰のところになんとちょうどいい具合のベンチがあるではないか。ここでとりあえず横になって寝よう。ここちよい風が吹いていたので1時間ちょっと仮眠をとった。起きてからふと我に返った。このまま日陰にのんびりしていても目的地まで近づくことはない。ちょっとでも先を進まないことには状況は変わらない。バッティングしてから出発しようと心に決めた。久しぶりのバッティングは全然打てず、逆にすでに疲労した体に普段は使わない筋肉を使ったので腰と背中を少し痛めてしまった。

仮眠明けなので足は軽く、頭もすっきりして走り始めた。相変わらずの炎天下で休憩がてらコンビ二に立ち寄ってみるものの中に入るとそこは極寒だった。全身汗だく状態なので急速に全身が冷やされ、足の筋肉は硬直し始めた。水や食料を買ったらすぐに出て、体を温めなおした。

もうすでに走り始めて100kを超えていたので自分の肉体は未知の領域に達しようとしていた。ここから先は何が起こるかわからない。足はパンパンになり一歩一歩がなかなか進まない状態が続いた。born to run で走るのは本のように簡単ではないことに今更ながら気がついた。楽しいという気持ちを持ち続けて走ることの難しさ。こんなとき最近、思うことはどれだけ愚痴をこぼしても、どれだけ自分に言い訳しても結局、何も変わらないということ。愚直に一歩ずつ突き進んでいくしかない。ここは踏ん張りどころだ。よしいくぞ、自分を鼓舞するように灼熱の太陽と向き合った。

相生(あいおい)に着いたころには16時を過ぎていた。わずか30kの距離を走るのに7時間以上もかかったことになる。肉体は限界を超えていた。まだ、岡山まで60k近くもあるのか。計画では2日目には岡山に着いて次の日の早朝に四国に行こうと思っていた。今のペースでは到底着くのは無理だった。計画を変更し、備前まで35kほどまで今日中にたどりつき、そこで仮眠をとることに決めた。

やっと日が傾き始めて、気温が少し下がった。道路の電光掲示板で現在の気温が表示されていた。29℃!!なに~!!涼しくなったと思っていたのにまだ29℃もあったのか。今まで一体、何度だったんだ。驚いたのもつかの間、よし、やっと走れる気温になったので今のうちに距離をかせぐしかない。これ以上、長時間走り続けると体のいろんなところがダメージを受けることが予感できた。一刻も早くゴールにたどり着くのだ。

100mごとに道路に小さな標識があり大阪から現在地までの距離を刻んでいたのでそれを見ながら、少しずつ歩を進めた。1時間ほどは元気があったが、だんだんと考えることもできない思考停止ゾーンへと突入していった。道は徐々に歩行者専用のレーンがなくなり、車道を走らなくてはいけなくなった。夜中に走る車の大半は大型トラックで少しでも意識がとんでふらつくと一瞬でひかれてしまうような状況だった。逆にその状況がふらついたら死ぬと覚悟することで、急いで先を進まなければ、どうなるかわからないという緊張感を生んだ。備前までの道のりは山を登ったり下ったりする道だった。平坦な道だったらもっと時間がかかっていたが、最後に来てラッキーと思った。今までさんざんトレランのトレーニングを積んでいたので上りは得意だった。足はパンパンだったが、のぼりに入るといつもの走りに戻った。いけるところまで突っ走ろう。通り過ぎる車のライトが消えたら、あたりは本当に真っ暗で満天の星空だけを眺めてひたすら走った。何て気持ちがいいんだぁ。もう130kぐらいをとっくに超えて走っているけど、おそらく今が一番、無駄のない走りをしているのかもしれない。もう体に力を入れる余力もない状態で余計なことを一切考えられない精神状態でただただ走り続ける。そこには何もないのだと思う。走ることに必要な最後まで走り続けるのだという意志以外には。

備前についたころには24時を過ぎていた。旅館やビジネスホテルはなく(あるとは思うが開いている時間ではない。)、このまま2日連続で公園のベンチは辛いなと思ったので、この時間でも開いているラブホが近くにないか探して走った。看板はあるが、進んでみてもラブホはなく、これはつぶれているんじゃないのかと思い、結局あきらめて、近くの駅の待合室のベンチで寝ることにした。ちょうどドアを閉めることができたので寒さをしのぐことができた。

0 件のコメント:

2018 UTMF

 レース前日に新富士駅まで新幹線で向かい、富士駅前のスーパーホテルで前泊した。新大阪駅あたりで頭にかぶる笠を忘れてしまったことに静岡駅でひかりからこだまに乗り換えるときに気づいた。新しく買い替えたばかりの笠だったので、ちょっとショックだった。  ホテルに着いたら、今回からの背負...